そもそも六法って何ですか?

そのうちこのブログにも専門的な内容を解説する記事を書いていこうと考えているわけですが、そうなると根拠を示すために法律の条文を引用したりしなければならない場合が出てくると思います。

そういうときに参照するのが法律の条文が書かれた「六法」と呼ばれるもの(つまり辞書みたいな本ですよね。)です。

最近は、政府が運営するe-GOVというサイト(https://www.e-gov.go.jp)からオンラインで条文検索ができるようになったので六法を参照するにしても便利になりました。

しかし、先にそもそも「六法とは何か?」ということを明らかにしたほうが親切だし、このブログの記事も増えるしで、二回くらいに分けて書いていこうと思います。

なぜ六法?

六法とは漢字書いた文字通り、6つの法を指します。

基本であり重要と考えらている憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の6つです。
(学問上、憲法は法律ではないので「6つの法」としました。簡単にいうと憲法は法律の上にある存在だからです。)

6つの法だから六法です。それだけです。

でも実際には先程のe-GOVに掲載されている法律だけでもその数は2,130件もあります。
法律以外の政令は2,326件、勅令は71件、府省令は4,226件、規則は435件もあります(令和6年5月24日現在)(https://elaws.e-gov.go.jp/registdb/)。

だから、「六法」とは「法が書いてあるもの(本)」くらいに思っておけばよいかと思います。

よく「六法全書」というけれど・・・

で、よく六法のことを「六法全書」などと呼んだりしますが、あれは「ほとんど書名」です。

つまり本のタイトルです。国語辞典の中の一つを「広辞苑(岩波書店)」とか言ったりするのと一緒です。
六法全書とは有斐閣という出版社が出している分厚い2分冊のやつです。
以前は岩波書店からも「六法全書」という名の六法が出版されていたそうなので「ほとんど書名」としました(https://www.iwanami.co.jp/news/n15809.html)。

六法全書といえども全ての法や関連する政令などが載っているわけではありません。

ちなみに司法試験に合格するには六法全書を全暗記するということもありません。と、思います。

他に六法の種類としては、学習用の「ポケット六法(有斐閣)」「デイリー六法(三省堂)」。
判例と呼ばれる裁判所が以前に出した判断が掲載されている「判例六法(有斐閣)」や「模範六法(三省堂)」。
専門的な分野が載っている「税務六法(ぎょうせい)」や「証券六法(新日本法規)」など色々です。

最近では「こども六法弘文堂)」というのもあるようですね。

私が大学生の時、法学部だったのですが、先生が「六法全書には」と言っていたので、一般的に六法と呼ぼうが六法全書と呼ぼうがどちらでもよいのでしょう。
(身も蓋もない結論になりました。)

今回の結びに代えて

ここで、ですね。大事な点を一つあげまして今回のブログを締めたいとおもうのですが。

大事なのは、この世の中、六法に載っている条文にきっちり当てはまることばかりではないということです。

きっちり当てはまらないからこそ専門家がいるのです。

後半は条文の読み方について書きます。

大谷 常雄