六法の条文の読み方
今回は六法の条文の読み方をお伝えいたします。
まず、章立てです。
大きい方から編、章、節、款の順に構成されています。
編の中に章、章の中に節、節の中に款とだんだん細かくなっていくイメージです。
ですので、細かい規定がない場合、章だけで終わることもあります。
例えば、民法第一編の第一章はそれ以上細かい分類がないので、節や款がありません。
編章節款が全部揃っていると民法第二編、第八章、第二節、第一款というふうになります。
次に条文です。
基本的には条、項、号、イロハ・・・の順になっていきます。
例えば、民法第1条は、
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
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と、なっております。1項、2項、3項があります。
ここで注意しなければいけないのは、1項の「1」という数字は書かれません。
2項以下があるときだけ、2項になる条項に「2」などが書かれ、そのときに最初の条項が1項となるのです。
この場合は民法1条1項、1条2項、1条3項となります。
次に号がある場合です。
内容は別として民法第13条は以下のようになっています。
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
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この条文も2項以下があります。
ですから1項の1が書かれていなくても1項となるのでした。
そして、1項の中にある「一」「ニ」「三」などの漢数字、これが号です。
民法13条1項1号などのように読むわけです。
そしてもう一つ例を挙げます。
憲法7条は、
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
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一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
項はありませんのでこれは憲法7条1号、7条2号、7条3号~、と読んでいくことになります。
最後にイロハがある場合です。
これは会社法の2条3号の2を挙げておきます。
(条文には○条の2や○号の2など枝番がつく場合もあります。)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
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一 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二 外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三 子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
三の二 子会社等 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 子会社
ロ 会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの
もうお分かりになってきたかと思います。
会社法2条3号の2イ、2条3号の2ロとなります。
今回は条文の引用も多く長くなってしまいましたが、六法の条文の読み方は以上です。
大谷常雄
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